🐢「フエで出会った経営者から学んだこと」

— 経験を力に変える時期、38歳の私へ届いた言葉 —

目次

✅ はじめに

ベトナムの古都フエに来ました。
実は私が初めてこの街を訪れたのは、2008年のこと
あれから17年が経ちました。
その時に出会った、とある宿のオーナーと再会する機会があり、今回もお世話になっています。

時が流れるのは本当に早いものです。
出会った当時、彼はすでに複数のホテルを経営しており、
4軒目のホテルを建てる計画を立てている最中でした。

当時の私は、ただの若い旅行者。
彼の姿は「すごい大人」にしか見えなかったのですが、
今思えば、彼はまだ30代半ば。
現在53歳になった彼は、あのときの私よりも若かったのです。

再会した朝、彼は朝食とカフェに連れて行ってくれました。
その時に、彼が語ってくれた言葉が、今の私に深く刺さりました。

「40歳までは学びの時間、そこからが勝負だよ。」

💡40歳は“始まり”ではなく、“形にするタイミング”

この言葉を、私はこう受け取りました。

「40歳から挑戦すればいい」という意味ではなく、
それまでに蓄えてきた経験を“形にしていく”時期だということ。

つまり、学んできたことを自分なりに活かして、
仕事や生き方として表現していく節目なのだと。

まだ40歳には届いていないけれど、
38歳の今、この言葉はとてもリアルに胸に響いてきました。

✅ 経営における姿勢と哲学

彼は、何十年も前からフエの地で宿泊業を営んでいます。
当初はとても小さな規模から始めたそうですが、
徐々に客室を増やし、地道に続けることで現在の形へと発展してきたとのこと。

📘 当時の集客方法

  • オンライン予約が主流ではなかった時代は、紙媒体や口コミ、現地での営業などを駆使して集客していたそうです。

📘 今の時代のやり方

  • オンライン予約サイト(例:AgodaやBooking.comなど)を利用し、スタッフの数を抑えて効率化。
  • 手数料は発生するが、人件費や営業のストレスを軽減できるとのこと。

🐢「亀のように、地道に進む」

彼が語っていたことの中で、特に印象的だったのは「ウサギと亀の話」でした。

「速く走れるウサギのように、大きな投資や急成長を狙うのも一つのやり方。
でも私は、地道にコツコツと続ける“亀”のようなやり方を選んできた。」

その理由をたずねると、彼はこんな話をしてくれました。

コロナ禍以前、周囲の宿泊業者たちの中には、銀行から資金を借りて不動産や設備投資を行っていた人も多かったそうです。
しかしコロナの影響で旅行客が激減し、収入がなくなる一方で、借金の返済は続きます。
結果として、多くの宿泊業者が経営難に陥り、施設を手放さざるを得なくなったとのこと。

一方で彼は、大きな借入や急激な拡大は避け、
常に「リスク分散」を意識しながら、無理のない規模で地道に続けてきた
だからこそ、今も変わらずホテルを経営し続けることができているのです。

🕊️ 自由であることの価値 — “Freedom is the best”

朝食のあと、彼がふと口にした言葉があります。

「自由でいることが一番いい。Freedom is the best.」

会社勤めのように組織に縛られてしまうと、自分の意思で学びや経験を選ぶことが難しくなる。
でも、自由な立場であれば、場所に縛られず、時に縛られず、
自分の頭で考え、学び、感じることができる。
それが何よりの財産になる、と彼は教えてくれました。

これは、まさに今の私が目指している生き方そのものです。
自分の足で立ち、自分の意思で学び、つくり、届けていく。
自由であるからこそ、責任も大きいけれど、得られるものも大きい
そんな覚悟と希望を、改めて感じました。

🎥 映像制作も「急がず、確実に」

この話を聞いて、私は自分自身のこれからに重ねました。

私は今、映像制作という新しい分野に踏み出したばかり。
まだ経験も少なく、未来が見えない日々です。
「明日の売上も、1年後の姿も見えない。
まるで、明日の天気さえ分からないようなものだよね。」

彼のこの言葉に、私は深く共感しました。

だからこそ、学びを深め、経験を積み、リスクを分散しながら少しずつ前に進むことが大切なんだと、改めて思いました。

📝 まとめ

今回のフエ滞在で、私はかつての出会いから多くの学びを得ました。
映像制作を本業にしていくことへの背中をそっと押されたような感覚です。

そして彼の言葉から、今の私に最も響いたのは——

「手広くやろうとせず、目の前のことにコツコツ取り組むこと」

地道に積み重ねる日々が、やがて大きな成果につながっていく。
急がず、慌てず、今できることに集中することこそが、
これからの私にとって最も大切な姿勢なのだと、心から納得しました。

40歳という節目は、新しいことを始める時期ではなく、
それまでの経験を“自分の形”として育てていくタイミング。

そして何より——
17年という時間が過ぎても変わらぬ関係と、
その時間の早さに気づけた今だからこそ、
この言葉の重みを真正面から受け止められるのだと思います。

38歳の今、私はようやくそのスタートラインに立ったのかもしれません。
今日もまた、小さな一歩を大切に歩んでいきます。
いつか私自身がこの経験を語れる日を目指して。

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